弁護士黒澤真志のブログ

虎ノ門(西新橋)で法律事務所を経営している弁護士のブログです。日常の出来事や普段考えていること等について、フランクに綴りたいと思います。

離婚の予防法務1〜浮気をしても離婚できる?

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先日、友人から「浮気(不貞)がバレたので離婚したい」という相談を受けました(最低なヤツです)。
詳しく話を聞くと、ずっと前から仲が悪くて、お互い家で口も聞かない状態で、いつ離婚してもおかしくない状況だったけど、決定的な出来事がなかったので、そのまま同居を続けていたとのことでした。
なので、もし浮気が将来的にバレたとしても、そのときに離婚の話を切り出せばよいと考えていたようです。
結局、浮気がバレてしまったとのことで、私に相談してきました。
 
しかしながら、
 
浮気をしていた場合、相手に対して離婚を請求することはできません
 
民法には明確に定められていないのですが、
最高裁判所判例で、浮気された上に離婚が認められてしまったら踏んだり蹴ったりだ、という理由により、
原則として、浮気をした側からの離婚請求は認められないとされています。
浮気されても離婚が認められるのは、
浮気した時点で婚姻関係が破綻していた場合(ただ、破綻の認定はかなり厳しいです)や、
不当ではないといえる特別な事情がある場合に限定されます。
 
上記の友人の事例では、相手に浮気の証拠をばっちり押さえられており、かつ、「(腹いせに)絶対に離婚しない」と言われていました。
したがって、友人が裁判所に離婚したいと訴えても、認められる可能性はほとんどないことになります。
単に仲が良くなかったというだけでは、「破綻」していたとは認められません。
このような状態になってしまっては、少なくとも法的手段としては、手遅れです。
 
将来的なことを言えば、
①長年別居が継続していて(最低でも8年程度)
②未成熟の子供が存在せず、
③相手が精神的、社会的、経済的に苛酷な状態でない場合には、
離婚が認められます。
したがって、友人のケースでは、これから長年別居して、子供が成人になり、相手も自立できている場合には、離婚できることになりますが、道のりとしては困難です。
 
私は、夫婦の仲がよくないのであれば、離婚もやむを得ないかと思うのですが、離婚を視野に入れている方は離婚の前に浮気をしないように注意しましょう。
最低限の知識として、知っておく必要があります。
 
結論:
もし離婚をしたかったら、その前に不貞をしてはいけない、という知識をもっておく。