弁護士黒澤真志のブログ

虎ノ門(西新橋)で法律事務所を経営している弁護士のブログです。日常の出来事や普段考えていること等について、フランクに綴りたいと思います。

投資話にご注意

先日、とある知人から、
 
「良い投資話がある」
 
と、勧誘を受けました。その内容は、
 
「元本保証で年利6パーセント。借用書も発行されるので堅実な案件です。一口100万円から投資可能です。」
 
とのことでした。
みなさんは、この投資案件は、良いものだとお考えですか?
この手の投資話には珍しく、比較的低い利率(とはいえ、一般的には年利6パーセントはかなりのパフォーマンスですが)であることは置くとして、
 
・元本保証なんだから、安全な投資案件なのではないか。
・借用書がしっかり発行されるのだから、問題ないのではないか。
 
とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
 

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しかしながら、これらは全て間違いです。
この手の投資案件は、
 

100パーセント損します。

 
断言します。100パーセントです。
そもそもですが、元本保証は出資法で例外的な場合を除き禁止されています。
そのような法的知識もない(あるいは敢えてやっている)業者が、誠実に義務を履行することは期待できないでしょう。
 
大抵ですが、この手の投資案件は、しばらくは約定に従った配当を行うものの、「業績が悪化した」等と言って、義務を怠るようになります(実際に資金運用をしていない場合は「ポンジスキーム」と言います。ちなみに、この点が業者が「詐欺」に見えないようにする工夫の一つです。)。
 
業者が義務を履行しなかった場合、借用書があるから問題ないと思われるかもしれませんが、誤りです。確かに、訴訟を提起すれば、判決で勝訴することは可能ですが、回収ができないのです。
なぜ回収できないかと言うと、ここは法律に不備があるところなのですが、相手に財産がない場合には、例え判決で勝訴した場合でも、1円も貰えないのです。
そして、このような投資案件を扱う悪質な業者は、そのことを理解していて、集めたお金のを既にどこかに動かしてしまっており(あるいは、既に費消してしまっており)、財産がない状態にしてしまっているのです。
財産のありかを探す手段も、個人情報保護に守られた現代社会においては、ほとんどないに等しいです。
 
考えてみれば、良い投資案件であれば、他人に勧めずに自分で行うはずです。
他人に勧める合理性は全くありませんね。
 
ちなみにですが、このような案件について、警察に相談しても、警察が動いてくれることはほとんどありません。
この点は、本当に警察の怠慢で、だからこそ悪質な詐欺が横行してしまっていて、非常に憤りを感じるのですが、これが現実です。
したがって、詐欺にあった場合には、よほど運がよくない限り、回収することはできないのです。
 
予防法務的な観点からすれば、上記を念頭においた上で、もし投資をするのであれば、リスクを踏まえておくことが必要となります。
是非ともご注意ください。